適正な輸血適応 血小板輸血について〜平成30年度 血液製剤の使用指針〜 抗HLA抗体も含めて

血液製剤の使用指針が平成30年9月に改定された.

我らが医局にも厳しいお達しがでたので,一度勉強してみた.
なのでシェアする.

以下から入手可能

 

厚生労働省 血液製剤の使用指針

今回は血小板輸血についてとりあげていこうと思う.

【以下に血液内科に大切と考えられるポイントをシェアする.】

  1. 活動性出血
  2. 手技について
  3. DICについて
  4. 血液疾患について
  5. 抗HLA抗体について

活動性出血

重篤な活動性出血を認める場合(特に網膜,中枢神経系,肺,消化管 などの出血
血小板が5万を保つように輸血する.

外傷性頭蓋内出血の場合には,
血小板数 10 万/µL 以上に維持する

外科手術の術前状態,侵襲的処置の施行前,

待機的手術患者では,術前あるいは施行前

⇨血小板数が 5 万/μL 以上
周術期も血小板5万を維持する.

複雑な心臓大血管手術で,長時間の人工心肺使用例,低体温体外循環を用いた手術など
血小板5~10万を維持する.

臨床的に血小板機能異常が強く疑われ,出血が持続する場合
血小板10万以上を維持する.

 

【手技について】

中心静脈カテーテル挿入⇨血小板数 2 万/µL 以上

(文献では2.5万の推奨(後でupします.))
腰椎穿刺⇨血小板数 5 万/µL 以上とすることを推奨する

骨髄穿刺⇨輸血の必要なし.(生検は記載なし.)
抜歯⇨血小板1万

 播種性血管内凝固(Disseminated Intravascular Coagulation:DIC)

出血症状のない慢性 DIC については,血小板輸血の適応はない。

 血液疾患について

a) 造血器腫瘍

原疾患や治療に伴う出血のリスクを回避するために,血小板輸血を予防的に行うことを 推奨する.

急性白血病・悪性リンパ腫などの寛解導入療法においては,急速に血小板数が低下する ので,危険なレベル以下に低下した場合には,血小板数をそれ以上に維持するように血小 板輸血を行う。

急性白血病(急性前骨髄球性白血病を除く)においては,安定した状態(発熱や重症感 染症など合併していない,あるいは急速な血小板数の低下がない状態)であれば,

血小板 数が 1 万/μL 未満に低下した場合に,血小板輸血を予防的に行うことを推奨する

急性前骨髄球性白血病では,

トリガー値を血小板数 2~5 万/μとする。(その出血リスクに応じる.)

⭐️発熱や感染症を合併しておらず,急激な血小板数が低下してなければ血小板は1万以下になったときに輸血.
APLは状態に合わせてトリガーを2~5万にする.
医療環境などによってはトリガーを1〜2万以上にして適時適切に対応する.

🌟再生不良性貧血やMDS

⇨血小板5千がトリガー
血小板数が 5 千/μL 以上 あって,出血症状が皮下出血斑程度の軽微な場合には,血小板輸血の適応とはならない。
血小板数が 5 千/μL 前後ないしそれ以下に低下する場合には,重篤な出血をみ る頻度が高くなるので,血小板輸血を行うことを推奨する.
感染症によって血小板が減少した場合には造血器腫瘍に従う.

💫免疫性血小板減少症 特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura:ITP)

血小板輸血を予防的に行わないこと
ITP で外科的処置を行う場合には,輸血による血小板数の増加は期待できないことが多く, まずステロイド剤あるいは静注用免疫グロブリン製剤の事前投与を行う。

臨床症状からみて出血リスクが高いと考えら れる場合には,適応のあるトロンボポエチン受容体作動薬の使用を考慮する

造血幹細胞移植(自家,同種)

⇨トリガーは1万(感染症や発熱がなければ)

造血幹細胞移植後に骨髄機能が回復するまでの期間は,安定した状態(発熱や重症感染 症などを合併していない,あるいは急速な血小板数の低下がない状態)であれば,

血小板 数が 1 万/μL 未満に低下した場合に,血小板輸血を予防的に行うことを推奨する

出血症状があれば,追加の血小板輸血を考慮する。

ただし,患者の状況や医療環境によっては,トリガー値を血小板数 1~2 万/μ以上にして, 適時適切に対応する。

 血小板輸血不応状態(HLA 適合血小板輸血の適応)

白血病,再生不良性貧血などで通常の血小板輸血を行い,輸血翌日の血小板数の増加が みられない場合には,次回輸血後の血小板数を測定し,その増加が低値の場合
抗 HLA 抗体等による免疫学的機序を疑う.
抗 HLA 抗体が検出される場合には,HLA 適合血小板濃厚液の使用する.

なお,抗 HLA 抗体は経過中に陰性化し,通常の血小板濃厚液が有効となることがあるの で,経時的に検査することが望まれる。

 

 

【以下は原文まま.読み飛ばしてもらえれば大丈夫です.】

大事な部分にはアンダーラインを引いておく.
上の厚生労働省のホームページから見られる.

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IV 血小板濃厚液の適正使用

1. 目的

血小板濃厚液(Platelet Concentrate:PC)の輸血は,血小板数の減少または機能の異常に より重篤な出血ないし出血の予測される病態に対して,血小板成分を補充することにより 止血を図り(治療的投与),または出血を防止すること(予防的投与)を目的とする。

2. 適応の現状と問題点

血小板濃厚液の多くが予防的に投与されている。血小板濃厚液の供給量は年々増加傾向 にあったが,この数年間は横ばい状態となっている。その背景としては高齢化率の上昇に 伴い,がん患者の増加がみられ,強力な化学療法による治療や外科的処置などに伴う使用 も多くなった一方,出血の少ない術式や医療の進歩により,使用量が減少してきたことが 挙げられる。

なお,血小板濃厚液の有効期間は採血後4日間と短いことから,常時必要量を確保して おくことは容易ではない。また,我が国では血小板濃厚液の供給は原則予約制であり,遠 隔地等においては入手に長時間を要することがある。したがって,輸血本来の在り方であ る血小板数をチェックしてから輸血することが,実際上,困難な場合がある。特に予防的 投与では,頻回な輸血が必要な患者の負担も考慮して,血小板減少を予め見込んで輸血時 の血小板数を必ずしも確認せずに血小板輸血を行っているのが現状である。

なお,頻回の輸血は抗血小板同種抗体の産生を促し,血小板輸血不能状態を引き起こす おそれもあることから,血小板輸血は必要最小限とする。

3. 使用指針

1),2),3)

血小板輸血の適応は,血小板数,出血症状の程度および合併症の有無により決定するこ とを基本とする。特に,血小板数の減少は重要ではあるが,それのみから安易に一律に決 定すべきではない。出血ないし出血傾向がみられる場合は,必要に応じて凝固・線溶系の 検査などを行い,血小板数の減少または機能異常によるものではない場合(特に血管損傷) には,血小板輸血の適応とはならない。なお,本指針に示された血小板数の設定はあくま でも目安であって,全ての症例に合致するものではないことに留意すべきである。

血小板輸血を行う場合には,事前に血小板数を測定する。血小板輸血の適応を決定する に当たって,血小板数と出血症状の大略の関係を理解しておく必要がある。

16 一般に,血小板数が 5 万/μL 以上では,血小板減少による重篤な出血を認めることはな く,したがって血小板輸血が必要となることはない。

血小板数が 2~5 万/μL では,時に出血傾向を認めることがあり,止血困難な場合には血 小板輸血が必要となる。

血小板数が 1~2 万/μL では,時に重篤な出血をみることがあり,血小板輸血が必要とな る場合がある。血小板数が 1 万/μL 未満ではしばしば重篤な出血をみることがあるため, 血小板輸血を必要とする。

しかし,慢性に経過している血小板減少症(再生不良性貧血,骨髄異形成症候群など) で,他に出血傾向を来す合併症がなく,血小板数が安定している場合には,血小板数が 5 千~1 万/μL であっても,血小板輸血なしで重篤な出血を来すことはまれなことから,血小 板輸血は極力避ける。

1) 活動性出血

活動性出血時は,止血処理がないまま血小板輸血だけでは止血できないため,出血部位 の止血を最優先とする。

血小板減少による重篤な活動性出血を認める場合(特に網膜,中枢神経系,肺,消化管 などの出血)には,原疾患の治療を十分に行うとともに,血小板数を 5 万/μL 以上に維持 するように血小板輸血を行うことを推奨する[2D]。

更に,外傷性頭蓋内出血の場合には,血小板数 10 万/µL 以上に維持することを推奨する [2D]。

2) 外科手術の術前状態,侵襲的処置の施行前

待機的手術患者では,術前あるいは施行前の血小板数が 5 万/μL 以上あれば,通常は血 小板輸血を必要とすることはなく,周術期については血小板数 5 万/μL 以上を維持するよ う輸血を行うことを推奨する[2D]。

複雑な心臓大血管手術で,長時間の人工心肺使用例,低体温体外循環を用いた手術など では,血小板減少あるいは機能異常によると考えられる止血困難な出血(oozing など)をみ ることがある。このような病態を呈する場合には,血小板数 が 5 万/μL~10 万/μL になるよ うに血小板輸血を行う。また,臨床的に血小板機能異常が強く疑われ,出血が持続する場 合には,血小板数を 10 万/μL 以上にすることも考慮し,血小板輸血を行う。

頭蓋内の手術のように,局所での止血が困難な特殊な領域の手術では,10 万/μL 以上で あることが望ましい。

17 ただし,脳脊髄手術や,CABG,人工心肺を併用した心臓・大血管手術や広範な癒着剥離 を要する手術,出血傾向を伴う慢性腎臓病や肝疾患を有する場合など,出血リスクの高い 手術でのエビデンスは限定的である。

心静脈カテーテル挿入時には,血小板数 2 万/µL 以上を目指して血小板輸血を行うこと を推奨する[2D]。また,腰椎穿刺においては血小板数 5 万/µL 以上とすることを推奨する [2D]。

一方,骨髄穿刺など局所の止血が容易な手技では,通常血小板輸血を予防的に行う必要 はない。ただし,抜歯においては血小板数 1 万/µL 以上を目安に血小板輸血を行ってもよい。

硬膜外腔穿刺,消化器内視鏡や気管支鏡による生検,肝臓等の臓器針生検については, エビデンスはほとんどない。

なお,トロンボポエチン受容体作動薬の適応がある症例では,血小板輸血の代替療法と しての使用を考慮する。

3) 大量輸血時

急速失血により 24 時間以内に循環血液量相当量,特に 2 倍量以上の大量の輸血が行われ ると,血液の希釈により oozing と呼ばれる出血傾向を来すことがある。止血困難な出血症 状とともに血小板減少を認める場合には,血小板輸血の適応となる。

なお,産科危機的出血や外傷性出血性ショックなどの救急患者では,凝固因子の著しい 喪失及び消費による,止血困難がしばしば先行することから,血小板濃厚液や新鮮凍結血 漿の早期投与による予後の改善が期待される。

4) 播種性血管内凝固(Disseminated Intravascular Coagulation:DIC)

出血傾向の強く現れる可能性のある DIC(基礎疾患が白血病,癌,産科的疾患,重症感染 症など)で,血小板数が急速に 5 万/μL 未満へと減少し,出血症状を認める場合には,血 小板輸血を考慮する。ただし,DIC の治療は,原因となる疾患や病態の改善を図るとともに 抗凝固療法を適宜併用することが原則である。

なお,血栓による臓器症状が強く現れる DIC では,血小板輸血の決定は慎重に行う。ま た,出血症状のない慢性 DIC については,血小板輸血の適応はない。

5) 血液疾患

a) 造血器腫瘍 原疾患や治療に伴う出血のリスクを回避するために,血小板輸血を予防的に行うことを 推奨する[2C]。

18 急性白血病・悪性リンパ腫などの寛解導入療法においては,急速に血小板数が低下する ので,危険なレベル以下に低下した場合には,血小板数をそれ以上に維持するように血小 板輸血を行う。

急性白血病(急性前骨髄球性白血病を除く)においては,安定した状態(発熱や重症感 染症など合併していない,あるいは急速な血小板数の低下がない状態)であれば,血小板 数が 1 万/μL 未満に低下した場合に,血小板輸血を予防的に行うことを推奨する[2C]。

ただし,患者の状況や医療環境によっては,トリガー値を血小板数 1~2 万/μ以上にして, 適時適切に対応する。

なお,出血リスクの高い急性前骨髄球性白血病では,その病期や合併症の有無等に応じ て,トリガー値を血小板数 2~5 万/μとする。

b) 再生不良性貧血・骨髄異形成症候群 これらの疾患では,血小板減少は慢性に経過することが多く,血小板数が 5 千/μL 以上 あって,出血症状が皮下出血斑程度の軽微な場合には,血小板輸血の適応とはならない。 抗血小板同種抗体の産生を考慮し,安易に血小板輸血を行わないことを推奨する[2D]。 しかし,血小板数が 5 千/μL 前後ないしそれ以下に低下する場合には,重篤な出血をみ る頻度が高くなるので,血小板輸血を行うことを推奨する[2D]。 なお,感染症を合併して血小板数の減少をみる場合には,出血傾向が増強することが多 いので,a)の「造血器腫瘍」に準じて血小板輸血を行う。

c) 免疫性血小板減少症 特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura:ITP)に対しては通常,

血小板輸血を予防的に行わないことを推奨する[2C]。 ITP で外科的処置を行う場合には,輸血による血小板数の増加は期待できないことが多く, まずステロイド剤あるいは静注用免疫グロブリン製剤の事前投与を行う。これらの薬剤の 効果が不十分であり,大量の出血が予測される場合には,血小板輸血の適応となり,通常 より多量の血小板濃厚液を要することがある。

また,ITP の母親から生まれた新生児で重篤な血小板減少症をみる場合には,交換輸血の ほか,ステロイド剤または静注用免疫グロブリン製剤の投与とともに血小板輸血を要する ことがある。

なお,慢性 ITP においては他の治療にて十分な効果が得られない場合,忍容性に問題が あると考えられる場合,または,血小板数,臨床症状からみて出血リスクが高いと考えら れる場合には,適応のあるトロンボポエチン受容体作動薬の使用を考慮する。

19 d) 血栓性血小板減少性紫斑病(Thrombotic Thrombocytopenic Purpura:TTP) TTP では,血小板輸血により症状の悪化をみることがあるので,血小板輸血を予防的に 行うことは推奨しない[2C]。活動性の出血や手術,外科的処置時は禁忌ではないが,安 全性が確認されていないため,血栓症の発症,増悪に注意しながら,慎重かつ最小限に行 うことが望ましい。

e) 血小板機能異常症 血小板無力症などの先天性血小板機能異常症,抗血小板療法などによる後天性血小板機 能異常症による出血症状の程度は,症例によってさまざまである。血小板輸血は,抗血小 板同種抗体を産生する可能性もあることから,出血のリスクが高く,止血困難な部位への 手術や侵襲的処置を行う場合,重篤な出血ないし止血困難な場合にのみ適応となる。

f) ヘパリン起因性血小板減少症(Heparin-Induced Thrombocytopenia:HIT) HIT が強く疑われる,または確定診断された患者において,明らかな出血症状がない場合 には,予防的血小板輸血は避けることを推奨する[2C]。

g) 固形腫瘍に対する化学療法 固形腫瘍に対して強力な化学療法を行う場合には,急速に血小板数が減少することがあ るので,必要に応じて適宜血小板数を測定する。 血小板数が 1 万/μL 未満に減少し,出血傾向を認める場合には,血小板数が 1 万/μL 以 上を維持するように血小板輸血を行うことを推奨する[2C]。 化学療法の中止後に,血小板輸血をしなくとも血小板数が 1 万/μL 以上に増加した場合 には,回復期に入ったものと考えられることから,それ以降の血小板輸血は不要である。

h) 造血幹細胞移植(自家,同種) 造血幹細胞移植後に骨髄機能が回復するまでの期間は,安定した状態(発熱や重症感染 症などを合併していない,あるいは急速な血小板数の低下がない状態)であれば,血小板 数が 1 万/μL 未満に低下した場合に,血小板輸血を予防的に行うことを推奨する[2C]。 出血症状があれば,追加の血小板輸血を考慮する。

6) 血小板輸血不応状態(HLA 適合血小板輸血の適応)

血小板輸血後に血小板数が増加しない状態を血小板輸血不応状態という。血小板数が増 加しない原因には,抗血小板同種抗体などの免疫学的機序によるものと,発熱,感染症, DIC,脾腫大などの非免疫学的機序によるものとがある。

免疫学的機序による不応状態の大部分は抗 HLA 同種抗体によるもので,一部に血小板特 異抗原(Human Platelet Antigen:HPA)に対する同種抗体が関与するものがある。抗 HLA

20 抗体による血小板輸血不応状態では,HLA 適合血小板輸血により,血小板数の増加をみる ことが多い。一方,非免疫学的機序による血小板輸血不応状態では,原則として HLA 適合 血小板濃厚液を使用しない。

白血病,再生不良性貧血などで通常の血小板輸血を行い,輸血翌日の血小板数の増加が みられない場合には,次回輸血後の血小板数を測定し,その増加が低値の場合(5. 効果の 評価の項を参照),抗 HLA 抗体等による免疫学的機序を疑うことを推奨する[2C]。抗 HLA 抗体が検出される場合には,HLA 適合血小板濃厚液の使用を強く推奨する[1C]。

なお,抗 HLA 抗体は経過中に陰性化し,通常の血小板濃厚液が有効となることがあるの で,経時的に検査することが望まれる。

HLA 適合血小板濃厚液の供給のためには,特定のドナーに多大な負担を課すことになる ことから,その適応に当たっては,適切かつ慎重な判断が必要である。HLA 適合血小板濃 厚液が入手し得ない場合や無効の場合,あるいは非免疫学的機序による血小板輸血不応状 態にあり,出血を認める場合には,通常の血小板濃厚液を輸血して経過を観察する。

4. 投与量

患者の血小板数,循環血液量,重症度などから,目的とする血小板数の上昇に必要とさ れる投与量を決める。血小板輸血直後の予測血小板増加数(/μL)は以下の計算式により算 出する。

予測血小板増加数(/μL)

輸血血小板総数 = 循環血液量(mL)×10

2

×

3

3

(2/3:輸血された血小板が脾臓に捕捉されるための補正係数)

例えば,体重 1kg あたりの循環血液量を 70mL/kg としたとき,血小板濃厚液 10 単位(2.0 ×10 11 個以上の血小板を含有 * )を,体重 60kg の患者(循環血液量 70mL/kg×60kg=4,200mL) に輸血すると,直後には輸血前の血小板数より約 32,000/μL 以上増加することが見込まれ る。

一般に,一回投与量に依存して輸血間隔は延長するので,外来患者では過量輸血に注意 を払いながら,通常量以上の輸血も考慮される 4) 。

なお,体重 25kg 以下の小児では,10 単位を 3~4 時間かけて輸血する。

21 *

我が国の血小板濃厚液は,単一供血者から成分採血装置を使用して製造されており,1 単位は 0.2 x10 11 個以上,5 単位は 1x10 11 個以上,10 単位は 2x10 11 個以上,15 単位は 3x10 11 個以上,20 単位は 4x10 11 個以上の血小板を含んでいる。

5. 効果の評価

血小板輸血実施後には,その効果について,臨床症状の改善の有無,および血小板数の 増加の程度を評価する。

血小板数の増加の評価は,血小板輸血後 10 分から 1 時間,翌朝または 24 時間後の補正 血小板増加数(Corrected Count Increment:CCI)により行う。CCI は次式により算出する。

CCI(/μL) 輸血血小板増加数(/μL)×体表面積(m 2 ) = 輸血血小板総数(×10 11 )

通常の合併症などのない場合には,血小板輸血後 10 分から 1 時間の CCI は,少なくとも 7,500/μL 以上である。また,翌朝または 24 時間後の CCI は通常 4,500/μL 以上である。血 小板輸血後 10 分から 1 時間の CCI が低値の場合は,抗 HLA 抗体の有無を調べることを推 奨する[2C]。

引き続き血小板輸血を繰り返し行う場合には,臨床症状と血小板数との評価に基づいて 以後の輸血計画を立てることとし,漫然と継続的に血小板輸血を行うべきではない。

HLA 適合血小板輸血を用いた場合は,血小板輸血後 10 分から 1 時間または翌朝か 24 時 間後 CCI を測定して,その有効性を評価することを強く推奨する[1C]。

6. 不適切な使用

1) 終末期患者への投与

終末期患者に対しては,患者の意思を尊重しない延命措置は控える,という考え方が容 認されつつある。輸血療法といえどもその例外ではなく,患者の意思を尊重しない投与は 控える。

7. 使用上の注意点

1) 使用法

血小板濃厚液を投与する場合には,血小板輸血セットを使用することが望ましい。赤血 球液や血漿製剤の投与に使用した輸血セットを引き続き血小板輸血に使用すべきではない。

22 なお,血小板濃厚液は全て保存前白血球除去製剤となっており,ベッドサイドでの白血 球除去フィルターの使用は不要である。

2) 感染症の伝播

血小板濃厚液はその機能を保つために室温(20~24℃)で水平振盪しながら保存されて おり,細菌混入による致命的な感染症等に留意する必要がある。

輸血の実施前に,バッグ内の血液については,スワーリング*の有無,色調の変化,凝集 塊の有無(黄色ブドウ球菌等の細菌混入により凝集塊が発生する場合がある),バッグの 外観については,破損や開封による閉鎖系の破綻等の異常がないことを,肉眼で確認する。

* スワーリング(Swirling):血小板の入ったバッグを光にかざしてゆっくりと攪拌することで,円盤状 の血小板が光を一様に屈折し,渦巻き状のパターンがみられる現象のこと。静置保存による pH の低下や低 温保存,細菌汚染等により血小板の形態が変化し,スワーリングが弱くなることがある。

3) 輸血後移植片対宿主病(PT-GVHD)の予防対策

輸血後移植片対宿主病(PT-GVHD)の発症を防止するため,原則として放射線を照射(15 ~50Gy)した血小板濃厚液を使用する。

4) 輸血関連循環過負荷(Transfusion-Associated Circulatory Overload:TACO)

過量の輸血による量負荷や,急速投与による速度負荷などが原因で,輸血中または輸血 終了後 6 時間以内に,心不全,チアノーゼ,呼吸困難,肺水腫等の合併症が現れることが ある。発症予防のためには,輸血前の患者の心機能や腎機能などを考慮の上,輸血量や輸 血速度を決定する。

5) サイトメガロウイルス(CMV)抗体陰性血小板濃厚液

CMV 抗体陰性の妊婦,あるいは極低出生体重児に血小板輸血を行う場合には,CMV 抗 体陰性の血小板濃厚液を使用することが望ましい。

造血幹細胞移植時に患者とドナーの両者が CMV 抗体陰性の場合にも,CMV 抗体陰性の 血小板濃厚液を使用することが望ましい。

なお,現在,全ての輸血用血液製剤に実施されている保存前白血球除去は,抗体陰性血 と同等の CMV 感染予防効果があるとされている。

6) HLA 適合血小板濃厚液

血小板輸血不応状態に対して有効な場合が多く,ABO 同型の血小板濃厚液を使用するこ とが望ましい。なお,血小板輸血不応状態には,血小板特異抗原に対する同種抗体による ものもある。

23 7) ABO 血液型・D(Rho)型と交差適合試験

原則として,ABO 血液型の同型の血小板濃厚液を使用する。現在供給されている血小板 濃厚液は赤血球をほとんど含まないので,交差適合試験を省略してもよい。

患者が D(Rho)陰性の場合には,D(Rho)陰性の血小板濃厚液を使用することが望ま しく,特に妊娠可能な女性では推奨される。しかし,緊急の場合には,D(Rho)陽性の血 小板濃厚液を使用してもよい。また,D(Rho)陽性患者に D(Rho)陰性の血小板濃厚液 を使用しても抗原抗体反応を起こさないので,投与することに医学的な問題はない。

通常の血小板輸血の効果がなく,抗 HLA 抗体が認められる場合には,HLA 適合血小板濃 厚液を使用する。

8) ABO 血液型が不一致の輸血

ABO 血液型が一致する血小板濃厚液が入手困難な場合は,ABO 血液型が不一致の血小板 濃厚液の使用も可能だが,なるべく適合する血小板濃厚液を使用する。この場合,血小板 濃厚液中の抗 A,抗 B 抗体による溶血の可能性に注意する。また,患者の抗 A,抗 B 抗体 価がきわめて高い場合,ABO 血液型が不一致の血小板輸血では,十分な輸血効果が期待で きないことがある。

なお,やむを得ず ABO 血液型不適合の血小板濃厚液を輸血する場合,輸血しようとする 製剤の抗体価が 128 倍以上の場合,または患者が低年齢の小児の場合には,可能な限り洗 浄血小板を考慮することが望ましい 5) 。

9) 洗浄・置換血小板の適応およびその調製

以下の 1~3 の状態にある患者に対し,血小板濃厚液の輸血による副作用を防止する目的 で,血小板を洗浄した後,患者に投与することが望ましい。

1. アナフィラキシーショック等の重篤な副作用が 1 度でも観察された場合

2. 種々の薬剤の前投与の処置等で予防できない,蕁麻疹,発熱,呼吸困難,血圧低下等 の副作用が 2 回以上観察された場合

3. その他上記 8)の場合

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